美濃焼に触れる|多治見市立美濃焼ミュージアム 本当に触れる体験ができる美術館

美濃焼に触れる

 やきもの甲子園など面白い企画をされている多治見市美濃焼ミュージアムに今回お邪魔しました。事前予約をして学芸員さんに館内の展示を解説していただくサービスが気になっており、今回利用しました。

 美濃焼は土岐・多治見・瑞浪・可児で作られる焼き物の総称。地理的に赤松などの薪や質のいい粘土がとられたことから窯業が盛んになったそう。500万年の時をかけて粘土が堆積していった。美濃焼は時代に合わせて変化してきた焼き物で、美濃焼を端的に一言で言い表すのは難しい。早速展示ブースで学芸員の方から美濃焼の歴史や変化について解説していただきました。美濃焼の歴史について 右から左へと時間の経過と共に美濃焼の変化が見て取れます。陶器と磁器は離れて展示してありました。もっと沢山展示があるのですが、個人的に気になった箇所だけを抜粋してご紹介します。

まずは陶器の歴史から

平安時代 灰釉陶器耳皿

 当時は陶器というのものが、主に富裕層向けに作られた。当時から釉薬が発見されたことがわかる収蔵品。よく見ると緑色がついています。既にこの時代から釉薬が使われていたんですね。

窖(あな)窯

 山の斜面を利用した地下・半地下式の窯。東海地方の窖(あな)窯には燃焼室と焼成室の間に分炎柱が設けられているのが特徴です。この窯で灰釉陶器や山茶碗などが作られました。

 鎌倉時代 山茶碗 小皿

 当時の武士・庶民向けの陶器。よく見てみると指の跡がついています。釉薬が使われていないことが分かりますね。

 桃山時代 瀬戸黒

 1,000度以上で焼成中に窯の外へ出して急冷させる事で漆黒の色味に変化します。瀬戸黒は日本独自のものと言われていて、高級なものであったのにもかかわらず、美濃では大量生産されていました。焼成中に引き出して急冷させるため割れやすい。完全なものを求める中国陶磁と対照的に、日本では不完全なものでも「おもしろみがある」「おもむきがある」と好む傾向にあります。外国の文化との対比も面白いです。また瀬戸黒という名前がついていますが、美濃独自の焼き物です。

 桃山時代 織部黒

 織部は今までの技術を詰め込んだものといわれていて、高台も統計が取れないほど多彩で、自由な発想で作られていました。最初は学芸員さんの解説を楽しみにして伺いましたが、ここで読んで字のごとく本当に織部黒の陶片(陶器のかけら)を触らせてもらえる事に。そんな体験ができるとは知らず、少し驚きました。大事なものですので、すこしだけ触らせてもらいました。

 ショーケースの向こう側にあるものが、いきなり目の前に現れると急に身近なものに感じて親しみがわきます。きっと解説の申し込みをしていなかったら、さっと通り過ぎていたかもしれないので、きちんと解説予約をしておいてよかった。

 この他にも抹茶体験(有料)など体験を重視された美術館です。解説はきちんと事前予約すれば学芸員さんのスケジューリング等の調整されてから受けられますので、ぜひ解説を聞きながら美術館の展示をじっくり見て下さい。人によっていいなと思える収蔵品もそれぞれ違うと思いますが、そういう所も含めて美術鑑賞のいいところ。

 志野 折縁鉢

 白い茶碗に鉄で絵が書かれるという所が、画期的です。

 瀬戸黒や織部黒そして志野が作られていた大窯

 大窯では窯壁や天井が地上に築かれるようになります。焼成室の大型化が実現。小分炎柱・障壁や昇炎壁や天井支柱が設けられました。窯構造が改良されました。

 江戸時代

 下級藩士などでもお酒を楽しむ文化があった。この時代には陶器の色が茶色くなっています。

 連房式登窯

 複数の焼成室が階段状に連なるのが特徴。今までの窯では薪を焚くのは燃焼室だけだったのが、連房式登窯では薪を焼成室の側面からも投入出来て、下の部屋から順に焼けるようになりました。

 私は美濃焼の色や見た目の変化について追いましたが、どこ目線で見るかで気になる収蔵品も変わるかもしれません。ここからは学芸員(キュレーター)さんにお話を聞いてきました。

 学芸員さんのお仕

 <多治見市美濃焼ミュージアムの特徴> 来館者には観光客の方も多く、体験プログラムにも力を入れているそうです。上記の陶片に触れるというのも、珍しい体験の1つ。親しみやすさもこちらの美術館の特徴で、複数回来館されるリピーターさんも多いとの事。「この1点が見たかった!」と駆けつけてこられるコアなファンの方もいらっしゃいます。発掘品の収蔵が多いのも特徴の1つです。また年配の来館者さんが多かったのが、ここ最近では若い方の来館も徐々に増えてきている傾向が・・・。

 企画展はどういう基準で選ばれているの?

 企画展は色々な時代をバランスよく、学芸員さん同士がお互いにアイデアを出し合って、旬のテーマたとえば周年という節目のものを取り上げる事が多いそうです。また学芸員さんそれぞれの強みも違うので、解説の際も担当の学芸員さんが変われば、切り口や語りも変わる。どなたに担当してもらうかで来館者の注目ポイントも変わるはず。

 学芸員さんになるには

 新卒で学芸員さんになるのは狭き門。色々な社会人経験をつんで、学芸員さんになられている方々が多いそう。中には焼き物を作る側から学芸員さんになられる方もいらっしゃるとか。私が担当していただいた学芸員さんは歴史に強い方で、日本史とリンクさせながら展示ブースのお話を解説して下さいました。各々の持っている経験や知識を活かして、美濃焼を解説するところが学芸員さん達の腕の見せ所でしょうか。

 鑑賞する際のマナー

動画撮影はNGです。撮らないで下さいというシールがついているものは撮影も不可。

※このメディアでは申請や許可の手続きを得て撮影してネットにアップしております。最後に磁器の歴史についての展示コーナーで気になった収蔵品を2つほどご紹介します。

釉下彩秋海棠文花瓶

釉下彩紫陽花文花瓶

 2つの収蔵品の前で見とれました。華やかでひときわ目を引きます。磁器が好きな私には、とても嬉しいスペース。陶器と磁器は、分けて展示してあります。

 解説していただいた中では驚く体験もあり、綺麗なものの前でしばし足を止める時間もあり、楽しい美術鑑賞もあり、楽しい時間の過ごし方をまた1つ覚える事が出来ました。同じ企画をもう一度別の学芸員さんの解説と聞き比べてみても面白いかもしれません。どの学芸員さんに当たるかも分からない。それは行ってみてからのお楽しみという事で。皆さんも休日にゆっくりアートに触れる体験をしてみませんか?

 https://www.tajimi-bunka.or.jp/minoyaki_museum/

 お忙しい中対応していただいた光枝様・岩城様・安井様・多治見市美濃焼ミュージアムの皆様・多治見市文化財保護センターの皆様ご協力ありがとうございました。